2005年 12月 01日
「改憲は必要か」 憲法再生フォーラム編 岩波新書 |
前書きで加藤周一が、意見を主張するのではなく問題点を明らかにしするのが本書の目的であると書いている。
一見中立的な内容の本のように勘違いしそうだが、執筆しているのはカチコチの護憲派の人達である。
おそらく、対象として想定している読者は、はっきりとした改憲派ではなく、憲法9条に関してどういう態度をとったらよいか迷っているひとたち、なかんずく、なんとく改憲派に傾きつつある人だろう。
本書は、憲法9条に関する質問に護憲派の学者や活動家がやさしく答えるという形をとっている。この構成はわかりやすくとてもよいと思う。
しかし、である。自分たちが設定した質問への解答なのに何か歯切れが悪いのだ。しどろもどろの言い訳と感じる部分もある。
「市民がどれだけがんばっても、しょせん戦争は止められないし、世界は変わらない。憲法9条も変えられてしまうのではないか」
という項目では北沢洋子という人が答えているのだが、憲法問題には触れずに、9条とは関係のない市民運動の成功例をただ羅列しているだけだ。
これでは、「どちらかというと護憲派」の私でも不安になってしまう。
そもそも、「市民がどれたけ・・・・・」という質問は「戦争」と「改憲」を無条件で結合してしまっている点で非常に戦略的な疑問設定なのだ。
護憲派の主張というのは単純である。
一、戦争は絶対にいけない
二、憲法9条がないと日本は軍国主義化して戦争を始める
よって、憲法9条は必要。
三、憲法9条は現状と合っていない部分もあるが、軍事国家化への抑止力として働いている。
よって、憲法9条は有効。
二及び三、に関してはいろいろな意見がありうるだろう。
しかし、一に関してはどうだろうか?
これに疑問を唱える人は現在でも少数派であろう。しかし改憲に関して議論するときそこまで踏みこんで考える必要がある時代になっていると思う。
この本では、「他国から攻撃や威嚇を受けた時はどうすればいいのか」「米国との関係が悪化したときにはどうなるのか」といった一番の心配ごとに対しては、何も書かれていないのだ。
一見中立的な内容の本のように勘違いしそうだが、執筆しているのはカチコチの護憲派の人達である。
おそらく、対象として想定している読者は、はっきりとした改憲派ではなく、憲法9条に関してどういう態度をとったらよいか迷っているひとたち、なかんずく、なんとく改憲派に傾きつつある人だろう。
本書は、憲法9条に関する質問に護憲派の学者や活動家がやさしく答えるという形をとっている。この構成はわかりやすくとてもよいと思う。
しかし、である。自分たちが設定した質問への解答なのに何か歯切れが悪いのだ。しどろもどろの言い訳と感じる部分もある。
「市民がどれだけがんばっても、しょせん戦争は止められないし、世界は変わらない。憲法9条も変えられてしまうのではないか」
という項目では北沢洋子という人が答えているのだが、憲法問題には触れずに、9条とは関係のない市民運動の成功例をただ羅列しているだけだ。
これでは、「どちらかというと護憲派」の私でも不安になってしまう。
そもそも、「市民がどれたけ・・・・・」という質問は「戦争」と「改憲」を無条件で結合してしまっている点で非常に戦略的な疑問設定なのだ。
護憲派の主張というのは単純である。
一、戦争は絶対にいけない
二、憲法9条がないと日本は軍国主義化して戦争を始める
よって、憲法9条は必要。
三、憲法9条は現状と合っていない部分もあるが、軍事国家化への抑止力として働いている。
よって、憲法9条は有効。
二及び三、に関してはいろいろな意見がありうるだろう。
しかし、一に関してはどうだろうか?
これに疑問を唱える人は現在でも少数派であろう。しかし改憲に関して議論するときそこまで踏みこんで考える必要がある時代になっていると思う。
この本では、「他国から攻撃や威嚇を受けた時はどうすればいいのか」「米国との関係が悪化したときにはどうなるのか」といった一番の心配ごとに対しては、何も書かれていないのだ。
by mec666cem
| 2005-12-01 11:12
| 読書