2008年 10月 01日
栄養価 |
ケンタロウと太一の「男子ごはん」という料理番組を毎週見ている。
料理をつくるのは細君任せで台所には入らない私だが、この番組はケンタロウと太一の掛け合いが面白く、且つ料理の勉強になるので見ているのだ。
しかし、気になる点が一つある。それは料理研究家のケンタロウが「栄養価が高い」という言葉をしばしば口にすることだ。
「栄養価」はその食品が持っている栄養の価値をさす。
具体的には、食品100gあたりの、熱量、タンパク質(及びアミノ酸)、糖質(炭水化物)、脂質(脂肪)、食物繊維、ビタミン、ミネラルなどの含有量をいうのだ。
だから、「栄養価が高い」とは、食品の熱量、タンパク質、糖質、脂質、食物繊維、ビタミン、ミネラルなどの含有量が多いことを言っているはずである。
ここで小学校の家庭科のおさらいである。
含有量からいって食物の主成分は、①タンパク質、②糖質、③脂質、④食物繊維、そして⑤水分
である、ビタミンとミネラルは重要ではあるが、含有重量としては無視していい量である。
だから①+②+③+④+⑤=食品の重量となる。
つまり、①~⑤までの成分が全部多いなどということはありえない。あくまで割合での表示なのだ。
そして①タンパク質、②糖質、③脂質には熱量(カロリー)があり、④食物繊維と⑤水分には熱量がない。
熱量の計算はおおざっぱに言って、
タンパク質(g)×4+糖質(g)×4+脂質(g)×9≒総熱量
となる。
因みに食物繊維というのは人間の消化管からは吸収されない成分の一切をさしている。
先日の番組でケンタロウが「きのこは栄養価が高い」と言っていたがこれは問題のある言葉だ。
きのこが現代人の生活に価値があるのは、味が豊なのにカロリーがほとんどないからである。
つまり栄養価の重要な指標である熱量がないのだ。きのこは100g当たりのビタミンとミネラルが多いが、その理由は未調理のきのこは野菜や果物に比べて水分が少ないためである。
栄養価を考えるときは、この水分量にも注意しなくてはならない。
スルメはイカよりも100g当たりの栄養価がとても高い。しかしそれは本質的な違いではなく水分量の違いによるものだ。
また、「栄養価」に対する価値も時代により変わってしまっていることも重要である。
かつては、栄養価が高いことは歓迎すべきことであった。
しかし、現代の経済発展国では、熱量が多いことは敬遠されており、むしろ食物繊維を取ることが推奨されているのだ。
栄養士でなくとも、料理研究家を名乗るのあれば最低限の食品の知識は必要であろう。
by mec666cem
| 2008-10-01 20:59
| 気になる言葉