2006年 04月 22日
「ギャラリーフェイク」 細野不二彦 小学館コミックス |
有名な漫画で、アニメにもなったのでご存知の方も多いだろう。美術を題材にした珍しい漫画である。
ここ十年ほど、娯楽漫画でありながら相当に専門的かつ詳細な内容を含む「情報型漫画」ともいうべきジャンルが出来上がっており、ギャラリーフェイクもその代表的なものと言えるだろう。
主人公藤田は類まれなる鑑識眼と超人的な修復技能をもった美術ディーラー。もとは世界的な美術館の学芸員として将来を嘱望されていたが、わけあってエリート街道からはずれ、現在は贋作や盗品を売りさばく一匹狼の闇美術商。ウォーターフロントの倉庫街に、助手の女性と二人きりでギャラリーフェイクを営業している。
何かに似ていると思いませんか?
そう、ギャラリーフェイクは手塚治虫の漫画「ブラックジャック」へのオマージュなのだ。
このことは作者の細野不二彦自身が雑誌のインタビューで語っていることだ。
ピノコとサラ、権威との確執、「おまえさん」「ですぜ」といった言葉遣い、いつも同じ服装の主人公。たしかにそっくりだ。
人間の命を扱った「ブラックジャック」と人間の生み出した美を扱った「ギャラリーフェイク」。
しかし物語に登場する金額は「ギャラリーフェイク」のほうが時代の差を考慮してもはるかに高額だ。
ちょっと考えされられる事実である。
ギャラリーフェイクの話の中で面白ものがある。正面切った村上隆批判を行っているのだ。娯楽漫画でこういうことは珍しいと思う。
主人公藤田は、明らかに村上隆を模した登場人物に言う 「お前のやっていることは窃盗に過ぎない」 と。
村上は「引用」だと言い、細野は「窃盗」だという。私はどちらも正しいと思う。
私流に言うなら、村上は山師的輸入業者である。
日本の漫画、あるいは広くオタク文化といっていいだろうか、そこは雑多でキッチュで俗悪で子供っぽい、しかしとても豊かな爛熟した世界である。
その世界から、整った大人の世界である美術界に「面白いもの」を輸入販売してみることは、実は多くの人が考え付く。
しかし、多くはうまくゆかない。輸入業者にはライセンスがいるのだ。そしてそのライセンスはオタク世界の住人には決して発行されない。
村上は、オタク世界を身近に感じていない外国人を相手に、微妙な距離感を保ちながら、輸入業者としての看板を上げることに成功した。
それには芸大日本画家出身という経歴も大いに役に立ったはずだ。
一回営業を認められばしめたもの、よっぼどのことがなければライセンスを剥脱されることはない。そして物資はオタク世界の住人が必死で作成してくれるのだ。
ここ十年ほど、娯楽漫画でありながら相当に専門的かつ詳細な内容を含む「情報型漫画」ともいうべきジャンルが出来上がっており、ギャラリーフェイクもその代表的なものと言えるだろう。
何かに似ていると思いませんか?
そう、ギャラリーフェイクは手塚治虫の漫画「ブラックジャック」へのオマージュなのだ。
このことは作者の細野不二彦自身が雑誌のインタビューで語っていることだ。
ピノコとサラ、権威との確執、「おまえさん」「ですぜ」といった言葉遣い、いつも同じ服装の主人公。たしかにそっくりだ。
人間の命を扱った「ブラックジャック」と人間の生み出した美を扱った「ギャラリーフェイク」。
しかし物語に登場する金額は「ギャラリーフェイク」のほうが時代の差を考慮してもはるかに高額だ。
ちょっと考えされられる事実である。
ギャラリーフェイクの話の中で面白ものがある。正面切った村上隆批判を行っているのだ。娯楽漫画でこういうことは珍しいと思う。
主人公藤田は、明らかに村上隆を模した登場人物に言う 「お前のやっていることは窃盗に過ぎない」 と。
村上は「引用」だと言い、細野は「窃盗」だという。私はどちらも正しいと思う。
私流に言うなら、村上は山師的輸入業者である。
日本の漫画、あるいは広くオタク文化といっていいだろうか、そこは雑多でキッチュで俗悪で子供っぽい、しかしとても豊かな爛熟した世界である。
その世界から、整った大人の世界である美術界に「面白いもの」を輸入販売してみることは、実は多くの人が考え付く。
しかし、多くはうまくゆかない。輸入業者にはライセンスがいるのだ。そしてそのライセンスはオタク世界の住人には決して発行されない。
村上は、オタク世界を身近に感じていない外国人を相手に、微妙な距離感を保ちながら、輸入業者としての看板を上げることに成功した。
それには芸大日本画家出身という経歴も大いに役に立ったはずだ。
一回営業を認められばしめたもの、よっぼどのことがなければライセンスを剥脱されることはない。そして物資はオタク世界の住人が必死で作成してくれるのだ。
by mec666cem
| 2006-04-22 19:45
| 読書